ポメラニアンは賢い犬種ですので、しつけは比較的入りやすい方です。
ただし、性格的に無駄吠えしやすい犬でもあるため、しつけに失敗すると苦労する可能性があります。
なるべく小さいころから、段階を踏んでトレーニングしていきましょう。
何からどう始めていいのか分からない飼い主さんのために、ここではポメラニアンに必要なしつけを順番にご紹介していきます。
ポメラニアンの基本のしつけ5つを優先順に解説!
ポメラニアンに必要なしつけは色々ありますが、特に大事なのが上の5つです。
重要度の高い順番に、やり方をくわしく解説します。
ポメラニアンのしつけ①トイレトレーニング
- トイレ用サークルにシートを敷く
- 排せつの兆候が見られたらサークルに誘導する
- 成功したら思いきり褒める
しつけの中でも真っ先にしておきたいのが、トイレトレーニングです。
これは、お迎えしたその日からスタートしましょう。
まずは、寝床用のケージとは別にトイレ用のサークルを用意し、そこにトイレシートを敷き詰めます。
あとは、ポメラニアンがトイレに行きたがるそぶりを見せたら、サークルに連れて行くだけです。
床の臭いを嗅ぎ出す・くるくる回る・床を掘る・歩き方がおかしくなる、などの様子が見られたら、トイレのサイン。
こうしたサインを、いかに見逃さずに素早くトイレに誘導できるかが、トイレトレーニングの要と言っても過言ではありません。
無事にサークルでトイレができたら、思いきり褒めちぎりましょう。
しだいにトイレの場所が狭まってきたら、シートの数を減らして、最終的にサークルを撤去してシートだけになればトイレのしつけ完了です。
何度も失敗してしまうと思いますが、叱ると「排せつ=叱られる」とインプットしてしまい、飼い主さんに隠れてトイレをする可能性があります。
失敗した時は淡々と掃除をして、しっかり臭いを消し、またコツコツと基本のトレーニングを続けましょう。
ポメラニアンのしつけ②クレートトレーニング
- おやつで誘導してクレートに入る練習をする
- 最初は扉を開けたまま
- 扉を閉める時間を少しずつ長くしていく
クレートトレーニングは、ポメラニアンが落ち着いてクレート(バリケン)で過ごせるようにするための訓練です。
クレートは、通院や旅行時に安全に移動するために必要不可欠ですし、災害時にも役立ちます。
もともと犬は、薄暗くて狭い空間で落ち着く習性がありますので、慣れればクレートは居心地のいい場所になるはずです。
そのままケージに入れて、寝床として使用するのも一つの方法ですが、慣れていない場合はまずおやつで誘導しましょう。
「クレートに入ったらいいことがある」と思ってもらうことが大切です。
扉を付けない状態で慣れてもらったら、今度は扉を付けて、閉める時間を少しずつ長くしていきます。
閉めた後もおやつを入れてあげることで、「扉が閉まってもいいことがある」と覚えてもらいましょう。
ポメラニアンが「出して」と騒ぐ前に扉を開けてあげると、クレートに嫌なイメージが付きにくくなります。
また、クレートに入る時に毎回「ハウス」と声をかけ、コマンドを覚えさせると、いずれ「ハウス」の声で自らクレートに入っていくようになりますよ。
ポメラニアンのしつけ③噛み癖・甘噛み対策
- 噛んでもいいおもちゃを与える
- 嚙まれたら「痛い!」と言って手を引っ込める
- 喉の奥まで指を入れるという方法も
ポメラニアンの飼い主さんの中には、噛み癖で悩む方が多いようです。
しかし、もともと犬は何かを噛みたがる習性を持っています。
特に、乳歯から永久歯に生え変わる時期は噛みたい欲求が強まりますので、何はともかく噛んでもいいおもちゃを存分に与えることが第一です。
逆に、噛まれて困る物はしっかり片づけておきましょう。
人の手を噛んでくる時は、それが甘噛みであっても、今後のことを考えてなるべく早めに矯正した方が安心です。
一緒に遊んでいる時に噛まれることが多いと思いますが、噛まれたら少し大げさに「痛い!」と声を上げ、パッと手を引っ込めましょう。
飼い主さんがいつもと違う声を上げること、そして楽しい遊びを中断されることで、ポメラニアンもしだいに学習するようになります。
もしくは、噛まれた時に指をポメラニアンの喉の奥に押し込む、という方法も有効です。
手荒に思えますが、手っ取り早く学習してもらえますので、他の方法でダメだった時はぜひ試してみてください。
ポメラニアンしつけ④吠え対策
- 要求吠えには反応しない
- 興奮吠えは落ち着かせる
- 吠えた瞬間に大きな音を立てる
ポメラニアンは吠えやすい犬種のため、吠え対策で悩む飼い主さんは非常に多いと思います。
吠えとひと口に言っても、その種類はさまざまです。
「ごはんちょうだい」「ケージから出して」などを伝えるための要求吠えは、反応してしまうとポメラニアンが「吠えたら相手をしてもらえる」と学習しますから、徹底的に無視しましょう。
逆に、吠えるのをやめて少したったタイミングで相手をすることで、「吠えてもムダなんだ」「おとなしくしていればいいことがあるんだ」と覚えてもらえます。
玄関のチャイムやサイレンなどに吠える「警戒吠え」は、ある意味では番犬として必要な吠えでもあります。
うるさい場合は、留守中はカーテンを閉めて外が見えないようにする、インターホンが鳴ったら一緒にモニターを見せて落ち着かせる、お客さんが来たらお決まりの場所で待つ練習をする、などの工夫をしましょう。
遊んでいる時にテンションが上がりすぎてしまう「興奮吠え」は、何より愛犬を落ち着かせることが大切です。
普段から「伏せ」の訓練をしておく、お気に入りのおやつを与える、などの対策が考えられます。
いつまでもワンワンうるさい時は、ペットボトルにビー玉や小石を入れたものをガラガラ鳴らすのも効果的です。
飼い主さんが鳴らしているのを見せない「天罰方式」で、「吠えると嫌なことがある」と学習させましょう。
ポメラニアンのしつけ⑤コマンドトレーニング(おすわりなど)
- おすわり
- 伏せ
- おいで
- 待て
- ハウス
- ちょうだい
子犬期でなくてもしつけやすいのが、コマンドです。
コマンドとは、愛犬の行動を制御するための合図で、覚えさせておくといざという時に役立ちます。
特に「おすわり」「伏せ」「待て」の3つは、外出先でポメラニアンや他の人の身を守るためにも大事なコマンドですから、優先してトレーニングしましょう。
おやつを使って、目標のポーズをとらせながらコマンドを与えることを繰り返していくと、いずれ覚えてくれるようになります。
「ちょうだい(離せ)」も、ポメラニアンが危ない物をくわえた時などに役立つコマンドです。
おもちゃの引っ張り合いっこで遊んでいる時に練習すると、自然に覚えてくれるでしょう。
コマンドはできるだけ統一して、何度もコツコツ続けることが大切です。
あせって訓練するものではありませんので、ポメラニアンと楽しみながらトライしてみてくださいね。
ポメラニアンのしつけはいつから始めるべき?
ポメラニアンのしつけは、できるだけ早く始めた方が後々ラクになります。
特にトイレは最初に教えておかないと、後から覚えさせるのに苦労するため、お迎えしたその日から開始することをおすすめします。
甘噛みや無駄吠えなどのNG行動も、早いうちに禁止しておくのが一番です。
今まではOKだったのに、ある日から突然「ダメ」と言われると、ポメラニアンも混乱してしまいます。
コマンドトレーニングは後からでもできますが、子犬の時期から少しずつ遊びのついでに訓練しておくと、楽しみながら早く覚えてくれるでしょう。
ポメラニアンのしつけは難しい?上手にしつける3つのポイント
ポメラニアンは学習能力が高いため、しつけが入りやすいと言われていますが、やり方を間違えるとうまくいかなくなります。
ポメラニアンをうまくしつけるために覚えておきたい3つのポイントをまとめました。
①まずは信頼関係をしっかり築く
上手にしつけるためには、ポメラニアンと飼い主さんの信頼関係がしっかりできていることが何よりも大切です。
ポメラニアンに限りませんが、犬は信頼のおける人間の指示に従おうとします。
普段からろくにかまってあげず、可愛がりもしないのに、「言うことを聞け」といっても通じないのは当然のことです。
まずはお迎えしたその日からたっぷりの愛情を注ぎ、存分に遊んであげて、ポメラニアンの愛情と信頼を勝ち取りましょう。
そうすれば、大好きな飼い主さんに褒めてもらうために、ポメラニアンもがんばってくれるはずです。
②基本は「叱るより褒めてしつける」
- 委縮してしまう
- 何を叱られているのか理解できない
- 逆に「かまってもらえた」と勘違いする
甘えん坊なポメラニアンは、大好きな飼い主さんに褒めてもらうのが何よりの喜びです。
本当に必要な時にはビシッと一言叱ることは大切ですが、不必要に叱られすぎると不安を抱えて成長することにもなりかねません。
そもそも、叱っても現行犯じゃなければ何が悪かったのかポメラニアンには理解できませんし、現行犯であっても理解できないこともあります。
逆に「叱られた=かまってもらえた」と思い、良くない行動を繰り返すこともあるのです。
一方、褒められることはほぼ確実に、正確に理解します。
「良くないことをしたら無視、良いことをしたら大げさなくらい褒める」を徹底することで、犬は褒められる行動をするようになるでしょう。
③一貫したしつけを行なう
- その時その時で対応を変えない
- できるだけ同じ言葉・コマンドでしつける
- 家族全員が同じしつけを心がける
しつけは、「同じパターンの繰り返しによる学習」です。
たとえば、「噛んだら遊びを中断される」というパターンを何度か繰り返すことで、ポメラニアンは「噛んだら遊んでもらえない=噛むのはダメ」ということを覚えていきます。
これが、ある日は噛んでもOK、ある日はダメ、というふうにムラがあるとポメラニアンは混乱し、入るはずのしつけがなかなか入らなくなってしまうのです。
また、家族の中で噛んでもOKな人とダメな人がいるのも、混乱のもとになりますので、家族全員が同じしつけを行なうようにしましょう。
とにかく「例外」を作らないことが大切です。
このように一貫したしつけを繰り返せば、賢いポメラニアンは色々なことを早く覚えてくれますよ。
まとめ
- ポメラニアンは学習能力が高く、しつけが入りやすい
- 基本のしつけは「トイレ・クレート・噛み対策・吠え対策・コマンド」の5つ
- トイレトレーニングはお迎えしたその日からスタート
- 飼い主さんとの信頼関係があってこそ、スムーズにしつけが入る
- 例外のない一貫したしつけが大切
ポメラニアンの基本のしつけを5つご紹介しました。
基本的に他の犬種と大きく変わりませんが、ポメラニアンの飼い主さんは「噛みつき」「吠え」で悩む人が多いため、この2つは特に意識してしつけていきましょう。
頭ごなしに叱るのではなく、まずは噛まなくてもいい、吠えなくてもいい環境を整え、いい子にできたら思いきり褒めることがコツです。
苦労する人の多いトイレトレーニングは、排せつのサインを見逃さないことが重要ですので、トレーニング期間は飼い主さんも覚悟を決めて、がっつり付き合うことをおすすめします。
また、ポメラニアンのしつけも人間の子のしつけと同じで、相手との信頼関係が築かれていることが大前提です。
普段からたっぷりの愛情を注ぎ、ポメラニアンが「この人の言うことに従いたい」と思えるような飼い主さんでいることを意識してみてくださいね。