トイプードル好きにとって、「多頭飼い」はあこがれですよね。
かわいいトイプードルが2匹以上そばにいてくれたら幸せですし、留守中もさみしい思いをさせずに済むイメージがあります。
賢くてコミュニケーション上手なトイプードルは、基本的に多頭飼い向きです。
ただし、組み合わせによってはうまくいかず、結果的に飼い主さんが苦労してしまうリスクもあります。
この記事では、トイプードルを多頭飼いするメリット・デメリットや、おすすめの組み合わせ、うまくいかせるためのコツなどをご紹介していきますので、多頭飼いを考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
トイプードルの多頭飼いの3つのメリット
まずは、トイプードルを多頭飼いするメリットから見ていきましょう
①可愛い姿に癒される
多頭飼いのメリットといえば、まずは何といっても可愛さが2倍、3倍になることです
トイプー同士で一緒に遊んだり、おそろいの洋服を着て散歩したり、寄り添いながら眠ったりする姿に癒されることは間違いありません。
声をかけた時、2匹以上がそろってじっとこちらを見つめる姿にもグッときますよね♪
②留守中のストレスが軽減される
トイプードルは甘えん坊で寂しがり屋の子が多いため、お留守番は基本的に苦手です。
そんな時、相性のいい仲間が一緒にいれば、留守番中の不安やストレスが軽減される可能性があります。
あくまで「相性がいい」ことが前提ですが、特にお留守番時間の長い家庭で、先住犬のストレスが強いようであれば、前向きに多頭飼いを考えてみてもいいかもしれませんね。
③社会性が身につく
多頭飼いすると、犬の社会性が身につき、問題行動が起きにくくなると言われています。
犬同士でじゃれ合ったりケンカしたりすることで、他者との関係性を学べますし、群れの中での上下関係も自然にできるため、お利口さんになりやすいようです。
また、飼い主さんとの関係にも変化が表れます。
1頭のみを飼育する場合、どうしても飼い主さんの愛情や関心を一身に受けることもあって、犬がわがままな性格になってしまうことがあります。
その点、多頭飼いすることで飼い主さんとの距離感がほど良くなり、1匹だけに過保護な状況が解消されやすいのです。
トイプードルの多頭飼いの3つのデメリット
次に、トイプードルを多頭飼いするデメリットもご紹介します。
①相性が悪いと苦労する
犬の多頭飼いが成功するのは、犬たちの相性が良い場合のみです。
先住犬と新しく来た犬の仲が悪い場合、ケンカになってどちらかがケガをしてしまう可能性もあります。
対策のために、かわりばんこにケージから外に出してあげたり、別々にお散歩させなければいけなかったりして、飼い主さんの負担が大きくなるかもしれません。
②飼育費・医療費がかかる
・トリミング代:月15,000円~20,000円
・医療費:年100,000円~
負担といえば、飼育費や医療費も当然増えます。
フード代は 定期検診代や予防接種代も犬の数だけかかりますし、トリミング料金は2匹で月15,000円以上かかる可能性が高いです。
お金だけではなく、トイレの掃除回数や、ブラッシング・歯磨きの時間など、ケアにかかる手間も2倍、3倍になるでしょう。
以上を考えると、お金と時間にある程度余裕のある家庭じゃないと多頭飼いは難しいかもしれません。
③先住犬のストレスが大きい
多頭飼いでもっとも配慮しなければいけないのは、先住犬のストレスです。
それまで飼い主さんの愛情を独占していたところに、突然新しい犬がやってくると、ストレスから体調を崩してしまう先住犬もいます。
また、新しい犬は子犬の場合が多いため、先住犬の年齢や体力によっては相手をするのに疲れてしまうかもしれません。
数週間も経てば慣れてくることが多いですが、いつまでも慣れる気配がない場合は、別部屋で飼うなどの工夫が必要です。
トイプードルを多頭飼いするべき時期・おすすめの組み合わせ
トイプードルの多頭飼いを成功させるためには、新しい犬を飼う時期や、先住犬との組み合わせを考える必要があります。
必ず成功するとは言えませんが、ここでは多頭飼いをうまくいかせるための基本をご紹介します。
時期・タイミング|先住犬が成犬になってからがおすすめ
まず大前提となるのが、「複数同時に子犬から育てるのは難易度が高い」ということです。
母犬と一緒に兄弟犬を育てる場合は別ですが、兄弟ではない2匹(以上)を同時に引き取るのは、犬の飼育経験がある人にとっても容易ではありません。
ただでさえ子犬は目を離せないのに、2匹以上いたらしつけが行き届かなくなる可能性が高いでしょう。
また、犬は仲間のマネをする習性があるため、しつけの完成した成犬の先住犬のいるところに、若い新入り犬が入ってくるのが理想的です。
ですから、まずは先住犬を成犬までしっかり育ててから、2匹目を迎えることをおすすめします。
そうすれば、先住犬が良いお兄さん・お姉さんになって、飼い主さんと一緒に子犬を育ててくれることもありますよ。
ただし、警戒心の強い先住犬の場合、成犬になってから新しい子が来ると受け入れにくいため、1歳未満で次の子を迎えた方がいいこともあるようです。
いずれにしても、「先住犬のしつけがある程度きちんとできてから」を1つのタイミングにしてみてください。
性別の組み合わせ|同性同士はケンカしやすい
2位:メス×メス
3位:オス×オス
年齢差|3~5歳差がベスト
先住犬と新入り犬の年齢差は、近すぎず離れすぎない「3~5歳差」が一番おすすめです。
年齢が近すぎるとライバル意識が芽生えやすいので、ケンカが多くなる可能性があります。
一方、年齢が離れすぎていると運動量が違ってくるため、年上の犬が体力的につらくなる可能性が高いです。
たとえば、10歳以上のシニア犬のもとに生後2~3ヶ月の子犬がやってくると、先住犬が疲れとストレスから弱ってしまうかもしれません。
以上を考えると、3~5歳差がベストです。
もし先住犬がすでにシニアの場合は、先住犬の生活ペースをできるだけ崩さないで済むような飼育方法を工夫してあげてください。
多頭飼いを成功させる5つのコツ
多頭飼いの基本を押さえたら、次に成功率を高めるためのポイントを見ていきましょう
①先住犬の性格を見極める
✔好奇心旺盛
✔散歩の時に他の犬を怖がらない
多頭飼いが成功するかどうかは、先住犬の性格によるところが大きいです。
先住犬が世話好きだったり、好奇心旺盛でフレンドリーであれば、新しい犬が来てもうまくいく可能性が高いと思われます。
散歩やドッグランに行った時に、他の犬を怖がらず、興味しんしんで近づいていくような子ですね。
一方、先住犬がデリケートで臆病な子の場合、基本的に多頭飼いは難しいです。
「繊細で寂しがりだから、仲間を作ってあげたい」という飼い主さんの気持ちも分かりますが、むしろストレスが増大するリスクの方が高いでしょう。
また、「先住犬と似た性格の子を選ぶ」のも1つの方法です。
たとえば、先住犬がおっとりしたタイプであれば、やんちゃすぎる子より、同じようにおっとりした子を2匹目に迎えた方がうまくいきます。
いずれにしても、先住犬が多頭飼いに向いた性格かどうかを慎重に見きわめることから始めてくださいね。
②先住犬をしっかりしつけておく
犬同士はお互いに影響を与え合う生き物です。
先住犬のいるところに2匹目を迎えた場合、新入り犬は先住犬のマネをすることで色々なルールを覚えます。
そのため、2匹目が子犬でも、飼育がラクになることが多いです。
ただし、もちろんそれは先住犬のしつけがしっかり行き届いている場合の話。
逆にしつけができていない先住犬のところに2匹目が来ると、良くない行動をマネしてしまいます。
また、新入りに合わせて先住犬も吠えるようになり、ダブルでワンワンうるさくなってしまうことも。
多頭飼いを成功させるためには、何はなくとも先住犬のしつけをしっかりしておくことが大切です。
そうすれば、先住犬が良いお手本になってくれて、飼い主さんもラクになりますよ。
③基本的には先住犬を優先する
✔新入り犬が優先順位を理解することで、問題行動を起こしにくくなる
いざ多頭飼いを始めたら、何につけても先住犬を優先するのが基本中の基本です。
愛情はどの子にも平等にかけてあげるべきですが、声かけ・食事・ブラッシングなど、すべてにおいて先住犬を先にしてあげてください。
お散歩に行く時も、まず先住犬にリードをつけて、それから2匹目、というふうにします。
そうすることで、先住犬は「自分が一番なんだ」と安心しますし、新入りの方は犬の中での順位を確認できるのです。
それは可哀想なことではなく、むしろ優先順位をハッキリさせた方が、新入りも自分の立ち位置が分かって安心します。
「飼い主さん→先住犬→新入り犬」の順位を示すことで、新入り犬は従順なお利口さんになりますし、先住犬もストレスが軽減されるはずです。
もちろん先住犬を優先した後で、新入り犬もたっぷり可愛がってあげてくださいね。
④1頭1頭のプライベート空間を確保する
②トイレ
③お気に入りのおもちゃ
多頭飼いでも、それぞれの最低限のプライベート空間は必要です。
少なくとも、ケージは専用のものを用意して、一人になれる空間を確保してあげましょう。
中にはその子専用のトイレトレーやトイレシートを置いてあげてください。
その子がお気に入りのおもちゃや毛布なども入れてあげるといいですね。
ちなみに、トイレを分けることは、一匹一匹の健康状態を把握するのにも役立ちますよ。
⑤感染症に細心の注意を払う
感染症名 | 潜伏期間 | 主な症状 | ワクチン・予防薬 |
---|---|---|---|
ケンネルコフ (犬伝染性気管気管支炎) | 3~7日 | 短く乾いた咳・くしゃみ・発熱・呼吸が速い・食欲不振 など | × |
犬ジステンバーウイルス感染症 | 3~6日 | 発熱・鼻水・目やに・食欲不振・元気がない・嘔吐・下痢 など | 〇 |
犬パルボウイルス感染症 | 1~2週間 | 嘔吐・下痢・脱水・発熱・食欲不振・元気がない など | 〇 |
犬疥癬 | 1~2ヶ月 | かゆみ・脱毛・フケ など | × |
ノミ | - | かゆみ・皮膚の赤み・黒いフケ状のものが見える・脱毛 など | 〇 |
トイプードルの多頭飼いでもっとも気をつけたいのが、感染症です。
一匹がかかると、他の子にも移す可能性があります。
特に子犬や、高齢・持病などで抵抗力が弱まわっている子は重症化しやすいため、要注意です。
さまざまな感染症がありますが、たとえば「犬風邪」とも呼ばれるケンネルコフなどは、飛沫(咳やくしゃみ)から感染します。
犬パルボウイルス感染症は感染力が強い上、子犬は死亡率が高いため気をつけたい病気です。
また、ダニの寄生によって起こる犬疥癬や、ノミなども、犬同士の間で感染が広がりやすいです。
ワクチンや薬で予防できる病気もありますが、まだワクチンスケジュールが済んでいない子犬は免疫が十分ありませんので、他の犬の体調にも気を配っておきましょう。
ワクチン後も、体調不良には常に注意し、1匹の具合が悪ければ早めに受診して検査を受けるようにしてください。
まとめ
✔多頭飼いのタイミングは「先住犬がある程度大きくなって、しつけが入ってから」
✔多頭飼い成功のコツは「先住犬>新入り犬」の優先順位をハッキリさせること
✔多頭飼いでは感染症に要注意
✔医療費や飼育費、世話にかかる時間が倍になることも理解しておく
トイプードルは明るく人なつこい性格の子が多いため、基本的には多頭飼いに向いている犬種です。
ただし、デリケートで臆病な先住犬にとってはストレスになってしまいますので、まずは何より「先住犬の性格を見る」必要があります。
また、2匹同時に飼い始めるのは難易度が高すぎるため、まずは先住犬を成犬まで育てて、しっかりしつけしてから2匹目を迎えるのがセオリーです。
そうすれば、2匹目は先住犬から良い影響を受けながら、犬同士の中でさまざまなルールを自然に学んでいきますよ。
何より、飼い主さんが犬たちのリーダーとなって、毅然とした態度で接することが一番重要です。
犬は群れのリーダーには必ず従いますので、先住犬を優先させる時も、ケンカの仲裁に入る時も迷いなく、常に堂々としていてくださいね