ミニチュアダックスフンドをお迎えしたら気をつけたい病気と気になる治療費や予防法も解説

胴長短足で可愛いミニチュアダックスフンド。平均寿命は14.7歳と長寿のため、年齢を重ねるごとに発症しやすい病気も増えています。

椎間板ヘルニアをはじめ、皮膚炎や外耳炎といった病気にも比較的かかりやすいといえるでしょう。

この記事では、ミニチュアダックスフンドがかかりやすい病気一覧と治療費の目安、それらの病気を少しでも減らすにはどうすれば良いのかをお伝えします。

ミニチュアダックスフンドに多い7つの病気一覧

病名危険度治療費の目安
椎間板ヘルニア手術:20万~25万
膿皮症/細菌性皮膚炎検査・薬の処方:1回6,000円~10,000円程度
外耳炎洗浄・投薬治療:1,000円~2,000円
歯根膿瘍/根尖膿瘍検査・歯科処置:10万円前後
前立腺肥大去勢手術:2万~3万円
白内障手術:20~25万円(片眼)
乳腺腫瘍/乳腺腫瘤手術:約8万円~20万円

ミニチュアダックスフンドが他の犬と比べてかかりやすい病気を一覧表にしてみました。

胴長短足という特徴的な体型からくる椎間板ヘルニアや、垂れ耳さんに多い外耳炎、老化によってかかるものなど、さまざまな病気があります。

それぞれの病気について詳しく見ていきましょう。

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:椎間板ヘルニア

症状
  • 抱き上げると痛がって鳴く
  • ロボットのような歩き方になる
  • 震え、イライラ
  • 歩けない
治療費の目安手術:20万~25万
予防法
  • フローリングの床にカーペットを敷く
  • 激しい運動をさせない
  • 抱き上げるときは床と平行になるようにする

椎間板ヘルニアの原因は加齢によるものと、遺伝的なものの2つの原因があります。

特にミニチュアダックスフンドは胴長短足のからだをしているため、椎間板ヘルニアになりやすいといえます。

犬の背骨にも人と同じように、背骨の間にはクッションの役目を果たしている椎間板があります。これが変形し、脊柱管内の神経を圧迫することさまざまな障害を引き起こす病気が椎間板ヘルニアです。

ミニチュアダックスフンドやコーギーのような胴長短足の犬種は遺伝的な要因が多く、若くても発症します。

抱き上げるとキャンと痛がるような声をあげる、ブルブルと震えているといった症状で気づく飼い主も多いです。少しでもいつもと違う様子が見られたらすぐに獣医さんに相談しましょう。

参考:ダグタリ動物病院 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:膿皮症/細菌性皮膚炎

症状
  • 皮膚をかゆがる
  • フケが出る
  • ブツブツができる
  • 毛が抜ける
治療費の目安検査・薬の処方:1回6,000円~10,000円程度
予防法こまめな被毛の手入れとシャンプー

皮膚の1カ所を執拗にかきむしる、いつも痒そうに後ろ足でひっかいているといった症状が出たら、それは膿皮症(のうひしょう)、細菌性皮膚炎かもしれません。

膿皮症は、もともと犬の皮膚に存在しているブドウ球菌が異常に増えてしまい、発症する皮膚の病気です。

健康な皮膚では問題なのですが、免疫力の低下や何らかの原因で菌が異常に増えてしまい、皮膚が化膿して発症することがあります。

軽度の場合は小さなブツブツができる程度ですが、犬がなめたりかきむしったりすることでブツブツが破損して体液が出て悪化することが多いです。

膿皮症はどの犬も起こりやすい病気です。治療法は抗生物質(内服薬)や塗り薬で治療することがほとんどです。

参考:みんなのどうぶつ病気大百科 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:外耳炎

症状
  • 頭を振る
  • 耳をひっかく
  • 壁に耳を擦り付ける
  • 耳の中がにおう
治療費の目安洗浄・投薬治療:1,000円~2,000円
予防法
  • 定期的に耳の中を洗浄する
  • 耳まわりの毛をカットする

外耳炎は、ミニチュアダックスフンドなどの耳が垂れている犬に多い病気です。

ミニチュアダックスフンドは耳の中にも毛が生えているため、耳の中が蒸れやすく、細菌や真菌が増えやすい環境になってしまいます。よく頭を振ったり、耳を壁に押しつけるしぐさをしたり、耳の中から悪臭がしたりすると、外耳炎の可能性があります。

動物病院では耳の中の洗浄と、点耳薬による治療が行われます。

日頃から、耳の中の毛をカットしたり、定期的に耳の洗浄液で耳の中を洗ったりすると蒸れずに清潔に保てるでしょう。

参考:みんなのどうぶつ病気大百科 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:歯根膿瘍(しそうのうよう)

症状
  • 硬い食べ物を嫌がる
  • 片方のあごで食べようとする
  • 食欲低下
  • 口臭
治療費の目安検査・歯科処置:10万円前後
予防法
  • あまりにも硬いものを食べさせない
  • 歯磨きを習慣にする

歯根膿瘍は、歯の根っこや周囲が化膿して炎症がおき、膿の袋ができる病気のことをいいます。

若い犬より、中高齢の犬に多い病気です。

口臭や食欲低下、硬い食べ物を嫌がるといった症状で気づくこともありますが、歯の根元の病気のため多病状が進行するまで気づかないことが多いです。

重症になると、骨を溶かしてしまうこともあり、目の下や鼻などに穴が開くことがあります。治療は全身麻酔で抜歯し、感染した歯髄を除去した後薬剤を充填したり、内服薬を処方します。

予防は、硬いものを食べさせたり、硬いオモチャで遊ばせないようにし、歯垢が付着したままにしないよう、日常的に歯を磨いてあげましょう。

参考:みんなのどうぶつ病気大百科 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:前立腺肥大

症状
  • 軽度では無症状
  • オシッコが出にくくなる
  • 血尿が出る
治療費の目安去勢手術:2万~3万円
予防法去勢手術を行う

前立腺肥大は去勢していない高齢の犬がなりやすい病気です。

前立腺が肥大すると尿道が狭くなり、尿が出にくくなります。

犬は何度もトイレに行きますがオシッコは少ししか出ない…といったことが繰り返されます。

オシッコがでないことは命取りになるため、去勢していない犬の場合は尿の出方にはいつも気をつけておき、獣医さんに相談の上、できるなら去勢手術を受けましょう。

参考:みんなのどうぶつ病気大百科 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:白内障

症状
  • 眼球が白く濁っている
  • ものによくぶつかる
  • 前足で目をこする
治療費の目安手術:20~25万円(片眼)
予防法
  • ケガを防ぐ
  • 紫外線をたくさん浴びない

白内障には、老齢性白内障と若年性白内障の2つの種類があります。いずれも進行すると失明の恐れがあります。

原因は加齢、糖尿病、その他の目の病気です。

若年性白内障は2歳くらいまでに発症し、遺伝的な要因があると言われていますが、老齢性白内障は加齢が原因です。

症状が進行すると水晶体が白く濁るのが見えるほどになり、視覚障害が出ます。壁や柱にぶつかったり、段差でつまづいたりすることで発見されることも多いです。

白内障の初期段階では点眼薬で治療を行いますが、治すのではなく病気の進行を遅らせるのが目的です。根本的な治療はやはり手術になります。

水晶体の白内障の部分を取り除いて人工眼内レンズと置きかえることで再び見えるようになります。

白内障は早期発見・早期治療が大切です。日頃からよく目を観察しておきましょう。

参考:みんなのどうぶつ病気大百科 

ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気:乳腺腫瘍/乳腺腫瘤

症状
  • 乳腺にしこりがある
治療費の目安手術:約8万円~20万円
予防法
  • 若いうちに避妊手術を受ける
  • 日頃から犬のからだによく触っておく

犬の乳腺は胸から内股まで広い部分に分布していて、左右に約5対あります。

乳腺腫瘍・乳腺腫瘤はこの乳腺にできる腫瘍で、トリミングやブラッシングの際に犬の体に触ると、胸にしこりのようなものを見つけて発見されることが多いです。犬自身が腫瘍を気にすることはまれです。

原因は女性ホルモンや遺伝的な体質だと言われており、避妊手術をしていない中高齢のメスの犬が発症します。

各種検査をして、極めて悪性度が高い炎症性乳がんの可能性があれば手術による治療は困難なため緩和治療を施します。

その他の乳腺腫瘍であれば、さらに検査をして手術で腫瘍を取り除きます。合わせて抗がん剤治療や放射線治療をおこなうこともあります。

良性の場合は経過が良好なことが多いですが、悪性だった場合は転移をしていたり、再発したりする可能性もあります

乳腺腫瘍/乳腺腫瘤は早期発見、早期摘出が非常に重要です。日頃から犬のからだによく触って異常がないか確かめるようにしましょう。

参考:クルーズ動物病院 

まとめ

・ミニチュアダックスフンドは病気の中で椎間板ヘルニアが最も多い
・病気は早期発見・早期治療が大切
・年に一度は健康診断を受ける
・日頃から犬のからだによく触り、少しの変化も見逃さないようにする
ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気をいくつかご紹介しました。
ミニチュアダックスフンドが最もなりやすい病気は椎間板ヘルニアです。胴長短足の宿命ともいえるので、滑りやすい床にはカーペットを敷いたり、日常的に段差を歩かせないようにしたりして予防しましょう。
また、前立腺肥大や乳腺腫瘍/乳腺腫瘤など、若い頃に去勢・避妊手術をすることで防げる病気もあります。獣医さんとメリット・デメリットについてよく話し合っておくと安心です。
病気は犬も人も早期発見・早期治療が大切。何も症状がないからといって安心せず、日頃から愛犬のからだに触れて変化がないか確かめ、少しの変化も見逃さないようにしましょう。できれば年に1回は健康診断を受けさせることをおすすめします。